信長の野望 〜全国版〜

PC88 SLG 1986年 光栄


〜ストーリー〜

         五十有余の群雄が割拠する戦国乱世。

 東北には伊達、越後に上杉、関東に北条、
甲斐には武田、駿河には今川、三河には徳川、
中国に毛利、四国に長宗我部、

 そして尾張には「天下布武」を旗印に天下統一を夢見る織田信長があった。 

 今、貴方は下克上の乱世に身を投じ天下統一を果たさなければならない! 
数々のドラマを秘めた武将達の壮大な歴史抒情詩が今、はじまる。

〜ちょこっとゲームリプレイ〜


今回のプレイでは、一番クリアし易いと思われる『織田信長』を選択。キャラではなく、尾張という場所が有利であります(後述)
ゲームスタート! 初プレイの方は、まずは何をしたら良いか迷うのではないかと思われます。


まずはReturnキーでコマンドの確認、実に数十のコマンドがありますが・・・。 まずは年貢を20%→50%の重税にしてみよう。
年貢を上げたことで、民衆の忠誠が71→50に低下。一揆予防のために、民衆に施しもしておきましょう。


開墾などで、国力を上げることも必要。米が蓄えられたら相場を見て商人に売却。内政だけでなく、軍事力にも注意しよう。
兵士雇用や兵力編成は重要。今回は全軍を本隊(第1部隊)に編成。そして、戦力が整ったら戦争を仕掛けろ、三河の徳川を攻撃!


戦闘はHEX戦。敵よりもやや少ない兵力で攻め込むと、敵は分散配置を行う・・・スキをついて敵の本陣近くに攻撃隊を布陣!
敵本隊を奇襲!敵部隊が引き上げてくる前に全滅させろ! 尾張→三河でこの作戦がもっとも成功しやすい地形です、そして勝利!

〜プレイ感想〜

>光栄製作のコンピューターシミュレーションゲームの金字塔。
>戦国時代の群雄を選び、全国を統一せよ!!!


 信長の野望については、筆者も含めた80年代ゲーマーならば、おそらくは大半の方がプレイしたことがあるシミュレーションゲーム(以降『SLG』)であると思います。過ぎ去る年月は早いもので、本作品が発売されて夢中になって遊んでから20年以上も経過してしまいました。
 今回は筆者のゲーム史を書く上で外すことができない『信長の野望 全国版』の思い出を書いていこうかと思います。

 筆者がSLGと初めて接したのは小学校低学年、もちろんMSXは未だ発売されておらず、筆者よりも10歳年上の兄がハマっていた、ボードタイプのSLGを遊んでいました。ソロプレイだけでなく、対人間でも遊んでいましたが、対戦相手は兄しかいない状況(ボードSLGの全部は兄の所有物≒宝物だったので、第三者とプレイすることができなかった)で、いつもコテンパンに負けておりました(笑)

 時は過ぎ、小学校半ばの時に親から購入してもらったMSXパソコンが家に来てから、筆者のゲーム環境は劇的に変化しました。それまでは、家に『任天堂のブロック崩し』という名作家庭用ゲームはあったのですが遊び尽くしてしまい、テレビゲームを遊ぶ場合は少ない小遣いを駆使して駄菓子屋ゲーセンで遊んでいる状況でした。
 筆者はアクションゲーム好きですから、ボードSLGそっちのけでMSXにハマりこみ、時間があれば一日中MSXで遊んでいました。当時発売されたファミコンにハマってしまったことがある往年のゲーマーであれば、その状態がお分かりになるかと思います。

 兄もおそらくMSXで遊んでみたかったのだと思います。でも兄の場合は、当時出版されていたSLGの専門誌『TACTICS』『シミュレーター』に紹介記事が掲載されていたコンピューターSLG、『アートオブウォー』『オペレーショングレネード』などがプレイしたかったのだと思います。でも悲しいことに、それらのコンピューターSLGの大半が、アメリカで生産されていたパソコン、アップルU用のゲームであり、MSXでは発売されていないゲームであったのです。

 そして、国産コンピューターSLGである『信長の野望』のMSX版が発売され、兄は即座に購入。そして、筆者からMSXを半ば強引に取り上げて、・・・翌日には『信長の野望』と一緒に筆者に返してくれたのでした。
 兄は純粋な古典的ボードSLGゲーマーですから(40過ぎても大学勤務の傍らプレイしているみたいです(笑))、本作『信長の野望』は面白くなかったのかもしれません。でも、筆者は心の底から楽しむことができました。

 初めてのプレイでは、怖くてなかなか他の国に攻め込めず、延々と『開墾』していたり、初めて敵の国に攻め込む時、全兵力で攻め込んで勝利したものの、元の国に兵を残さなかったのですぐ他の国に攻め取られてしまい、また占領した国で延々と『開墾』していたり(笑)
 正統派のボードSLGに比べると、数値が前面に出されているので兄の好みではなかったのかもしれませんが、筆者は時が過ぎるのを忘れて遊ぶことができました。

 そして、筆者が鮮烈に印象に残っているのが、兵糧攻めの技でしょうか。

 【兵糧攻めの技】
プレイヤーが敵国に攻め込んだとき、攻撃側の戦力が多い場合には、防御側のコンピューターは必ず城の周囲に部隊を配置して動かさないアルゴリズムであることを利用した技。 

 手順
(1)2国以上を領有する
(2)片方の国(仮にオトリ国)の部隊編成を、本隊100%にする
(3)片方の国兵力をある程度(70くらい?)残して、あとはすべて本国に移動する
(4)金と兵糧をすべて本国に輸送する
(5)兵糧の蓄えがないとコンピュータ国が攻め込んでくるので、自動的に兵糧切れで負けてしまう。(プレイヤー側の戦力がすべて敵側になる)
(6)兵糧切れで負けた事で、オトリ国は敵側の領国になるが、そのオトリ国は兵力よりも少ない兵糧しかない
(7)すぐ、本国からオトリへ攻め込む
(8)オトリ国のコンピューター側は本隊のみで、城へ配置したまま動かない
(9)こちらも動かない
(10)コンピューター側の兵糧が先に切れるので、オトリ国はプレイヤーの国になり、敵側の戦力がすべてプレイヤー側になる
(11)前の(3)に戻る


(リプレイの続き)占領した三河ではそれまでの兵力編成のままですから、本隊100%に変更しておきましょう。
そしてまずはある程度の兵力を、次のターンに金と兵糧をすべて本国に輸送します。そして武田の侵略、兵糧切れで即敗戦!三河は武田の手に。


次のターン、兵力と兵糧1で三河に攻め込んでみよう。敵は第1部隊しかいないので、城からまったく動きません・・・。
敵の兵糧は(三河で降伏した兵のため)30日間分の兵糧がありません・・・というわけで待つだけで勝利! 兵士と金が手に入ったぞ!


 他にも色々な技がありますが、これは『信長の野望』で一番有名な技だと思います(笑)

 例えるならば、史実の長篠の戦い(織田と武田の合戦で、織田鉄砲隊が三段構えの新戦術を導入することで、それまで精強の名を欲しいままにした武田騎馬隊を壊滅させた戦い)の織田信長のように、敵を手玉にとる戦いを行なうことができます。

 それまでの戦い方とまったく異なった新戦術を、プレイヤー自身が実践する喜び。

 今でいえばバグでプレイヤーが楽に勝利できしまうようなもので、今日このような不備があるゲームをリリースすれば駄作扱いされかねません。ですが、当時コンピューターSLGという遊びがあまりなく、各々のプレイヤーが手探りで攻略していたものですから、悪知恵があるプレイヤー(笑)でもなければ戦闘も正攻法で、新しい国を攻略するたびに一休みし、戦力を整えてから次の国に攻め込んでおりました。
 実践した方はご存知のとおり、本作品は正攻法で遊ぶ場合、ゲームのクリアまで大変な時間を費やします。

  そのような状況ですから、ゲームでの『自軍の損害がない上に敵軍の降伏した部隊まで自軍に加えることができてしまうバグ技』は、史実の『織田鉄砲隊の三段構え』と同じくらいに、革新的な新戦術でありました。


 そのような意味で本作は、バグ技を含めた上で、新戦術の発見と実践という戦国時代のシミュレーションができる名作ではないかと筆者には思われるのです。

……褒めすぎですか?(笑)


 さて、なぜ筆者は当時MSX版をプレイしていたのに、画面写真がPC88版かというと……
MSX版のROMイメージの作成に失敗して、ソフトを壊してしまった(泣)からです。

 というわけで、以前なんとなく購入したPC88版でROMイメージを作成しております。
MSX版の白黒画像の信長様が懐かしいです(笑)

08/06/11

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