蒼き狼と白き牝鹿

SLG MSX 1986年 光栄



〜ストーリー〜

「上天より命ありて生まれたる蒼き狼ありき。
 その妻なる惨白き牝鹿ありき。」

                   元朝秘史より

1155年秋、モンゴリアの草原に一人の男児が生まれた。
男児は、
その手に血の塊を握っていた
その時戦場にあった父親は、
捕らえた敵の大将の名をわが子に与えた。

その子が13になった時、
父親が殺された
一族の者たちは、次々に去って行った。
残された少年は、母と兄弟を守るために、
少しでも強くなろうとした。

少年は伝説を聞いて育った。
蒼き狼と惨白き雌鹿の伝説だった。
強くなることを強いられた少年は、
蒼き狼に憧れ蒼き狼たらんとし蒼き狼となった

蒼き狼は草原を駆け抜けた。
蒼き狼は砂漠をも駆け抜けた。
駆けて駆けて駆けまくり、
此の世の果てまで駆けていった。

人は呼ぶ彼の名を。
人は呼ぶ狼の名を。
とり憑かれたかのように疾走した
蒼き狼の名を。

 テムジン
             至上最強の征服者

〜ちょこっとゲームリプレイ〜 


テープからのロード後、ようやくゲームスタート! 顔グラフィックが無いですが、主人公はテムジン(後のチンギスハーン)のみ!
ちょっと寂しいかな…でも、テープ版のゲームはその都度データを読めないから、ビジュアルに凝るのは難しいんですよねぇ…


ごちゃごちゃと読みづらい画面ですね〜でも、当時は情報が画面に一杯表示されているゲームは珍しかったような記憶があります…
そして、このゲームの最大のライバルは商人! 商人がいないと殆ど何もできません…商人がいない場合は、日々訓練!!


ついに商人が来た! ということで溜め込んでおいた米を売る&傭兵を雇う! 一気に軍事大国化して敵に攻め込め!
PC88版の戦闘はHEX戦らしいですが、MSX版は簡易戦闘! でも、こういう戦闘のほうが個人的に好みだなぁ(笑)


戦闘は三すくみ、騎馬は歩兵に、歩兵は弓兵に、弓兵は騎馬に強い。3倍の戦力でも、有利な兵種なら逆転は可能だ!もちろん勝利!
そして戦利品(姫)の入手! 自分はこの再プレイまで、この国を部下が治める場合は部下に姫を下賜するのかと思ってました(笑)


〜思い出〜

 コンピューターで遊ぶシミュレーションゲームのソフトメーカーといえば、このホームページを訪問するゲーマーはきっと『光栄』(コーエー)を挙げるのではないかと思います。
 光栄でリリースして、日本で一番大ヒットしたゲームといえば、おそらくは『信長の野望・全国版』だと思います。
 『信長の野望・全国版』がファミコンで発売された当時、普通のソフトの倍の値段がするのにもかかわらず、筆者の周囲には予約待ちのユーザーが大勢おり、「つまんないゲーム2本よりも面白いゲーム1本のほうがイイ!」というブルジョアな友達(笑)もいました。

 そして、ちょっとコアなユーザーなら『三国志』のシリーズを、筆者のようにマニアック系の人間は『ジンギスカン』シリーズを選ぶのではないかと思います。(オルドマニア含む(笑))
 今回は、そのジンギスカンシリーズの第一作目『蒼き狼と白き牝鹿』をご紹介致します。


 ジンギスカンシリーズの一作目となる本作品は、光栄の大ヒット作となった『信長の野望・全国版』よりも前に発売されており、信長の野望から光栄好きになったゲーマーにはあまり印象が無い作品だと思います。
 その理由として、信長の野望はファミコン以降の機種であるPCエンジンなどにも、続編である『信長の野望〜戦国群雄伝』が発売された後でも、旧作の『信長の野望〜全国版』がわざわざ移植されているのに対して、『蒼き狼と白き牝鹿』はコンシューマ機への移植が行われなかったこともあるかと思います。

 さて、『信長の野望・全国版』以降からの光栄ファンのゲーマーには信じられないことかもしれませんが、この『蒼き狼と白き雌鹿』はゲーム途中のセーブができません
 というか、狙えば10分くらいで統一できてしまいます(笑)

 本作品が発売された当時のパソコンの性能では、大きなデータを扱うことができず、しかもフロッピーディスクよりもはるかに遅いテープ版では、じっくりと日数を費やすような腰を落ち着けたプレイは望めなかったのだと思います。というわけで、セーブできない、というかセーブする必要が無いゲームに仕上がっています。
(筆者はMSX版しかプレイしていませんので、フロップーディスク版のPC88などではセーブできるかもしれません(未調査))

 先日久しぶりに本作品をプレイして思ったのですが、「セーブできないほうがドキドキして面白い!」(笑)
本作品の戦闘はシビアで、主人公たるジンギスカンが戦争を仕掛けた場合に負けそうでも撤退できません。全滅するまで戦い続けます(さすがモンゴル人(笑))そして、戦争の敗北=主人公死亡で即ゲームオーバーになります。

 また逆に、数国を持つ敵国の本拠地を急襲して、運良く敵の君主を殺害した場合(敵の君主は逃げる場合があります(ズルイ!))、敵国の属国を含めた全域を支配下に入れることができます。うまくすれば、10分以内に統一できるのはそのためです。(敵国の姫は全員手に入りませんが)
 もっとも、最強レベル(レベル5)でプレイした時はその逆で、やっとローディングが終わってキャラメイキングしてゲームが始まり、自分の番が廻ってくる前に敵国に攻め込まれて即死亡というのもよくあります(笑)

 メモリの制限により戦闘もシンプルで、とにかく敵の3倍の戦力を集めて、騎兵・歩兵・弓兵へ3分割して割り振れば9割方勝つことができます。
 2005年時点で、光栄のリリースするシミュレーションゲームの戦闘はややこしいうえに戦闘回数が多いので大抵は戦闘を委任していますが、今のゲームであっても、こういうシンプルな戦闘も選択できれば良いなぁと思います(笑)


 最近の筆者は長時間をゲームのプレイに割り振ることができませんが、こういった短時間でプレイ&クリアできるゲームもまた見直してほしいものだと思います。
 でも、値段に比べてプレイ時間が短いとダメなゲーム扱いされそうでその兼ね合いが難しいでしょうね(むぅ)

 …だから近頃は同人ゲームの方が好みなのかなぁ(嘆息)
←あくまでも“個人的”意見ですよ!



 さて、気が向いたときの雑談話です。
 フロッピーディスク版やROMカセット版のゲームと異なり、テープ版のソフトはカセットテープからパソコンにデータを手作業で取りこみ、それを実行することでゲームが開始されます。ちなみに、データをカセットからロードしたあとに、プログラムを実行しないで“List”命令などでパソコン内を見てみると…

←『蒼き狼と白き牝鹿』のプログラムです。当時はBASICが主体のゲームも多かったですよね〜

 こんな風にゲームのプログラムが見れてしまいます。筆者の場合、どうしても解けなかったアドベンチャーゲームで、プログラム解析をして正解を調べたりするようなズルイことをしていましたが、真面目な友人の中にはプログラムを再構築して、勝手に続編を作りながらプログラムを勉強していたツワモノもいました。

 廃刊となってしまったパソコン雑誌『テクノポリス』などでは、市販ゲームの改造プログラムなどの投稿&掲載も80年代後半までされており(ソフトメーカーからの苦情で掲載が終わってしまったとの噂ですが…)、そんなような趣味で学んだノウハウでパソコン業界に足を踏み入れてしまった方も多いと思います。
 学校の勉強でなく、趣味で始めたプログラム解析で今の職業が決まってしまった人間は、このHPを閲覧されているような往年のゲーマーには、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?(笑)

 さて、21世紀となり、往年のプログラム雑誌『BASICマガジン』も廃刊となり、最近は初心者向けのプログラム解説雑誌も殆ど無くなってしまったように見受けられます。今後、プログラムの作成はどのような経歴を経た若者が主として担うようになるのでしょうか?
 (「…なんで?」)と思われる方がいるかもしれませんが、自分の周囲のプログラマーには、なぜかゲームからパソコン使いになった方しかいないので、そんな想像をしているのですけれども(苦笑)

06/01/09

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