(第32本目)蒼き狼と白き牝鹿W チンギスハーン

SLG WIN 1998年 光栄



〜何の続編?〜

 元々、シミュレーションゲーム(以降“SLG”)というゲームジャンルは、アクションゲームやシューティングゲームとは異なり、コンピューターゲームが初まりではありません。
 一般的にはSLGはボードゲームであり、人間同士の対戦でヘックス(六角形)の盤に、ユニット(駒)を並べてプレイしていました。
 ボードゲームのSLGは大人のゲーマーを中心に流行し、“TACTICS”“STR”などの専門誌も発刊され、TRPGと並んでホビーの一角を占めていました。
(←年齢がバレるなぁ(笑))

 当時のコンピューターについては、今に比べると性能も格段に劣っており、ゲームを動かす事については何とかなるのですが、処理速度や、また思考ルーチンに大きなメモリを割り振りできなかったので、人間相手の戦術にはまだ遠く及ばなかったのです。

 やがて、ボードゲームのSLGはより高度な闘いをシミュレートするため、複雑化、煩雑化していきました。
特に、一部のビックゲームと呼ばれる物は、一人で1000(!)のユニットを指揮するゲームも出たのですが、それらの複雑化・煩雑化した事によってSLGに初心者が挑戦することもなくなり、そして1ターンに何時間もかかるようなSLGは多くのプレイヤーからは敬遠され、やがては感情移入しやすいTRPGに駆逐されたような印象があります。
(「TRPG」=「テーブルトークのRPG」の事、コンピューターゲームではなく、数人でプレイするRPGです)

 さて、それとは反対にコンピューターの性能は進歩していったことにより、人間では困難である大量のデータ管理が行えるようになったので、ボードSLGの一番の問題であった、対戦相手を見つける必要のないコンピューターSLGとして、PCユーザーを中心に発展することになりました。

 当時の日本製のコンピューターSLGの代表作といえば、現代兵器を中心とした戦術級ゲームであるシステムソフト社の“大戦略”シリーズ、そして、歴史を題材とした戦略級ゲームである、“三国志”“信長の野望”シリーズに代表されると思われます。

 そして、光栄歴史シリーズのうち、女性キャラクターをアイテム化している珍しい作品が、この“ジンギスカン”(当時はチンギスハーンではなかった)シリーズであります。
 このチンギスハーンシリーズの最終目標は“世界統一”といった、地球上の歴史で、今なお達成されていないことが最終目標となっている事に、根強い人気があるのかもしれません。


>このシリーズ、歴史そのものが「男尊女卑」であったことから、女性は子供を作る道具としてのみ扱われています。(女性ゲーマーには「セクハラ」と言われそう…)
>ちなみに、一作目ジンギスカンは、捕らえた姫を部下に与えたり、更に非人道的な取り扱いをしています。当時、光栄はエロゲーメーカーだったせいでしょうか…?

今回は、そんな光栄のチンギスハーンシリーズの最新作、“蒼き狼と白き牝鹿W”をご案内します。

〜ストーリー〜

大陸に異文化の嵐が吹きあれる。 
馬蹄の轟きとともに…… 


はてしなく続く隊商の列が、街道をゆく… 
チンギスハーンの野望が、執念が燃え盛る。 
超巨大帝国モンゴルによる、 
ユーラシア大陸制覇を目指し、 
世界戦略の鍵“東西文化の交流”をあなたの手で展開しよう。
 


〜ちょこっとゲームリプレイ〜 


よく考えると、シリーズ一作目発表から20年以上も経過していますねぇ……。自分も年を取ったもんです(苦笑)
1100年代の世界各国の英雄を選択してプレイ! 当時の英雄が果たせなかった目標、世界統一にチャレンジだ!


この作品から“戦略マップ”という考え方は無くなってしまいました。自分としては、少し寂しいかなぁ……
でも、プレイヤーによっては、こういった“目に見える形”でゲームを進行させる方が楽しいかもしれません。あなたは?


光栄のSLGは“ひたすら戦争準備をするゲーム”という評判もありますが、あながち間違いではないと思います。
国を征服するだけでなく、世継ぎのため夜の生活も大事。ちなみに数年オルドを行なわないと、後宮に反乱が…(笑)

〜思い出〜

 いやはや、このゲーム、購入してからクリアするまでに長期間を費やしました……
自分はゲームをプレイする際、『初めてのプレイでは攻略本を見ない』『初めてのプレイではたとえ途中で大きな
失敗をしても、セーブしたところまで遡ってやり直さない』
事を心に決めています。

 そんな自分は、このゲーム、かなり進行を進めたのに、2回ほど挫折しています。その原因は…

1回目はフランス王国の、フィリップ2世でプレイしました。

 このゲームは前述のとおり、自分と后の間に子供を作る事ができ、男の子が生まれれば王子、女の子が生まれればお姫様になります。
 王子の場合は一定の年齢になると、将軍になってフランス王国の軍隊を指揮し、各地で戦争を行なうようになるのですが、お姫様の場合は将軍になる事ができませんので、適齢期になれば、自国の有能な将軍の元に嫁ぐことになります。

 そして、嫁いだ先は有能な将軍であるのですから、戦闘に出る場合も多い訳です。
で、戦闘に負けて、その将軍が捕らえられてしまう場合もあります…。
 その場合その将軍に嫁いでいた姫、つまり自分の娘はどうなると思いますか…?

 想像がつくと思いますが、敵国の王の慰み者になってしまいます…。
その状況になった時、自分は思わずそのゲームを強制終了してしまいました。
『初めてのプレイではたとえ途中で大きな失敗をしても、セーブしたところまで遡ってやり直さない』

強制終了した直後に思い出しました。つまり、自分はこのゲームに負けてしまったのです…(苦笑)

精神的ショック+長時間を費やしたこともあり、
しばらくやり直す気が起きませんでした。

さて、娘が嬲り者にされた心の傷も癒え(笑)2回目のプレイは、金国の玄宗皇帝でプレイしました。

 前回の失敗に懲りて、后との間にできた娘は、すべて戦争に参加しない内政の高い武将に嫁がせました(弱気)。ふと、「実際の歴史で文官に権力が集中したのはこういう事なのかなぁ」なんてプレイ中思ったりもしました、やるな光栄(笑)
 今回は、気合をいれてプレイ、開発については部下に任せずに、1つ1つのヘックスに直接指示を出して開発していきました。
(←プレイした方には、これは物凄く時間かかることが分かりますよね?)

 そして、農業大国を目指すために敵国がいない土地にも都市を建設、耕作可能な場所すべてを開墾、全ての街道には町を建設し、加えて港が造成できそうな場所にはすべて都市+港の建設を行ない、歴史上のチンギスハーンが“武力で世界統一”を目指した事と対極に、なるべく平和的に世界を統一しようと考えてプレイしました。

 そして目論見どおり、殆ど戦闘せずにモンゴル以外のアジアを統一できました。
(モンゴルとは同盟しました…だって戦闘力が強力な武将ばっかりだし、そういった武将がすべて没した100年後位(笑)に、
 やむを得なければ戦争を仕掛けようと思っていました(超弱気))

 2回目のプレイの悲劇は、インドまで中国世界開拓団(笑)が到着した時に起こりました。
なんとこのゲーム、建設できる都市の総数に制限があるようなのです(マニュアルに書いていない!)
 いつのまにか、ゲーム中の移住コマンドが灰色に反転し、新規都市が建設できなくなってしまいました。
すでに作った都市は破壊できないし…まだ世界の大半は未開拓の状態だし…いわゆる、ほぼハマリの状態になってしまいました…。
 ハマった当時は
「俺の100日≒100時間を返しやがれこのボケがぁ!!(憤怒)」と、
光栄に対して怒りが大爆発していました。
ええマジで。

1回目のプレイよりも長時間を費やしたこともあり、
3年ほどやり直す気が起きませんでした。


>1回目のプレイと2回目のプレイ、それぞれ初期の選択した国王は逝去しており、后との間にできた子供が後を継いでいます。
>もう継続してプレイすることはないのですが、それぞれ長時間をプレイしたデータなので消すに消せず、いまだにHDDの奥にデータが眠っています(笑)

 3回目のプレイ、純粋にモンゴルをプレイ。

 もう開発や都市建設なんて考えないで、狂犬のように片っ端から隣国に戦争を仕掛け、軍隊に食糧が足りなくなれば近場の町から略奪を行ない、捕虜にした敵国の将軍は全て処刑、捕らえた敵国の姫もすべて嬲り者にしながらプレイしました。
 もう
「邪魔するヤツはミナゴロシ」という状態です。その結果は…あっさりと世界統一できました

「んがーっ!(言葉で表現できない怒り)」

 ちなみにこのゲーム、このようないろいろな問題点が解消された、パワーアップキットが発売されていますので、これからプレイする方へは、パワーアップキット付のバージョンを購入することを、強くお薦めします。
(特に“廃都”コマンドの追加と、軍隊編成時の“兵種一括選択”コマンドの追加が便利です。)


>ちなみに、パワーアップキットで追加された、おなじみの“新君主モード”は結構面白いです。特に一人目のお后ゲットのイベントが笑えます(笑)
>そして、“廃都”コマンドの追加…。日本を無人の地にしてしまう事もできます…(ヒドイ)

 さてこのチンギスハーンについては、光栄の20周年企画として製作されていますが、それほど評判になったゲームではありませんでした(オルドがあまり面白くないのが原因かな(笑))

 実はこのチンギスハーンシリーズについては、光栄(現:コーエー)のオフィシャルHPに、他の歴史ゲームシリーズの“信長の野望”“三国志”とは違った扱いがされており、殆ど掲載されていません。
 この点については、光栄の社長が女性に替わった所為で「女性を奴隷化するゲームはイヤ!」とか、怒っているなかなぁ…なんて邪推していますが、本当のところはどうなのでしょうかねぇ?

(もしその噂が本当だとすれば、元々がエロゲーメーカーだったの何を今更、とか思ってしまうのは自分だけではないでしょうね。(あくまでも噂ですよ…)

それよりも、シブサワ・コウは実在しないという噂は本当なんですか?(むぅ)

01/11/04

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